2014年1月18日土曜日
『めめめのくらげ』監督 村上隆を考える
『めめめのくらげ』(2013)
監督 村上隆
この映画は、2013年のGWに公開されたのだが、もうすっかりそんな映画があったなと忘れかけていた頃、DVDがレンタルされたので手に取った。なにせあの村上隆の初監督作品なのだ、どういう映画を見せてくれるのか気になるじゃないか。
ある地方の町に、母親(鶴田真由)と少年正志が引っ越してくる。正志はそこで奇妙な生物を発見するが、とくに驚くこともなく、くらげに似ているというので「くらげ坊」と名付ける。くらげ坊の好物は「ちーかま」だ。ちーかまは、津波により亡くなった父親が、かつて製造していた商品だ。くらげ坊との遊び場は墓地。『ゲゲゲの鬼太郎』リスペクなんだろう。
冒頭のここまでで、地味な絵の連続と、くらげ坊の個性のなさに心配になりつつある。
翌朝、正志はくらげ坊をリュックに隠し、転校した小学校へ連れて行く。クール・ビューティーな美少女に睨まれ、隠していたことがばれたかとひやひやしているが、気付くと教室中クリーチャーだらけじゃないか! 子供たちはそれぞれのクリーチャーをスマホっぽいものでコントロールして遊んでいたのだ。
「あなたもフレンドを持っているの? でも授業の邪魔はしないで!」美少女はやっぱりクールだった。この日の授業は、XとYを使った連立方程式で、中3レベルの数学だったが、どれだけエリート小学校なのか? 田舎だと馬鹿にできない正志だった。
実はフレンドを子供たちに与えたのは、黒マントを被った大学生4人の集団で、子供たちの負のエネルギーを集めて、天災を防ぐための実験をしているとか…よく分からんが、とにかく悪い奴らということらしい。それは記号として黒マントを被っているからしょうがない。
放課後、神社でいじめっ子グループに正志は囲まれる。
「お前もフレンド持ってるんだろ、デバイスを出してみろよ!」
スマホじゃなくて、ここではデバイスと言わなくてはいけない。くらげ坊だけはデバイスは必要なかったのだが。
美少女の母親(黒沢あすか)は、新興宗教の信者だ。宗教団体の大人たちはうるさくて、理解のない大人として描かれる。正志は母親から解放させるために、美少女の手を取って走り逃げる…スロー・モーション&いい音楽とともに。
黒沢あすかは『冷たい熱帯魚』では脱ぎっぷりが良くて最高にエロかったが、ここではちっとも奇麗に撮ってくれない。その代わり、スクール水着の美少女の水中シーンがスローで見ることができる。さらに脱衣所の女子小学生の着替えシーンのおまけ付きだ。困ってしまう…。
正志の叔父(斎藤工)が最も何を考えて行動しているのか分からない。叔父は黒マントとともに研究所で働いているのだが、屋上から飛び降り自殺をしてみたり、上半身裸で格闘したり、正志の首を絞めたりする。どういうことなのか? どうやら何人ものコピーがいるということが分かるのだが、説明なしだ。
さて後半は怒濤のアクションシーンになる。あの例のロリータ・フィギュアがパンチラおかまいなく暴れまくったり、巨大怪獣が現れ、町を襲ったりなんだかんだあって、ちょっと驚かされた…これがやりたかったのか。
巨大怪獣(オーバルと言うらしい)の形は、巨大化した胎児をイメージしているらしいが、巨大なチン○にも見える。巨大な(大人の)チン○が美少女を襲い、正志が戦う…違うか。
この映画を通して伝わるのは、大人はうるさく、独断的。子供同士であっても、よそ者というだけでいじめてくる連中もいる…それでも共通のコミュニケーション・ツールがあれば、最後には自分を理解してくれる。なんといっても一番の理解者は美少女とフレンドという名のクリーチャーだ。
この主人公に監督村上隆が重なる…俺の芸術に文句言うな!
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