2014年6月1日日曜日

『ブギーナイツ』Boogie Nights (1997) ポール・トーマス・アンダーソンと俳優たち

ブギーナイツBoogie Nights (1997)
Director: Paul Thomas Anderson
Writer: Paul Thomas Anderson

『ブギーナイツ』はポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)監督の長編2作目の作品。若干27歳で、こんな傑作を作ったことに驚く。彼の以後の作品、『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『マスター』を観ても、原点は『ブギーナイツ』にあるのかなと感じる。

 PTA映画の特徴として、父(または母)と子の問題がテーマに絡んでくる。

『ブギーナイツ』では、ポルノ映画に集まる制作者や俳優が、疑似的な家族の関係を作っている。家や学校を飛び出したマーク・ウォールバーグ(ダーク・ディグラー)、ヘザー・グラハム(ローラーガール)がバート・レイノルズ、ジュリアン・ムーアを父母として慕う。

 またPTAは、比較的同じ顔ぶれでキャスティングしているのも特徴だ。常連組といえるのは、フィリップ・シーモア・ホフマン、ウィリアム・H・メイシー、ルイス・ガスマン、ジョン・C・ライリーなどだが、他の俳優たちも複数回、出演していることが多い。
 PTAの作品に出演する俳優たちは、何らかの賞にノミネートされることも非常に多い。とにかく俳優の演技を引き出すのがうまいのだ。『ブギーナイツ』でもバート・レイノルズとジュリアン・ムーアがオスカーにノミネートされている。ただバート・レイノルズは、何故かこの映画に出たことをひどく後悔しているらしく、PTAの次の映画『マグノリア』への出演オファーを断ったそうだ。

 キャスティングに関しての面白い話。当初レオナルド・デカプリオがダーク・ディグラー役としてオファーされ、本人も出たかったのだが、『タイタニック』出演が決まっていて断念したという。代わりにマーク・ウォルバーグを推薦したのだ。ここ何年かデカプリオは変な役ばかり演じているが、『ブギーナイツ』を断り『タイタニック』を選んだ呪いなのかと思ってしまう。

 『ブギーナイツ』は何度観ても大好きな映画だ。特にプールでのパーティーシーンが楽しくて好きなんだ。