2014年2月2日日曜日

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』映画の中だけならヒーローなのだが

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2014)
監督 マーティン・スコセッシ
原作 ジョーダン・ベルフォート
   ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』

 実在する投資ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化。レオナルド・デカプリオが製作し、監督はマーティン・スコセッシ。
ジョーダン・ベルフォート本人(カメオ出演もあり)
当初は監督にリドリー・スコットの名前が挙ったが、スコセッシで正解だった。スコセッシのホームタウンであるNYが舞台で、破滅型の主人公といえば、「タクシー・ドライバー」トラヴィス・ビックル「レイジング・ブル」ジェイク・ラモッタ「キング・オブ・コメディ」ルパート・パプキン、そして今作のジョーダン・ベルフォートもハチャメチャぶりでは負けていない。
 3時間もあるコメディーとなったが、登場する奴、どいつもこいつもその酷さに苦笑せずにいられない。もしリドリー・スコットならどう撮っていただろうか?…。組織犯罪の悪をテーマにシニカルでスタイリッシュに仕上げたかもしれない。

(↓ネタバレあり)
これが小人ダーツ!
冒頭からギャグが反則だ。オフィス内で「背丈の幾らか低い人」を二人がかりで掴み、放り投げる。ダーツの的に命中した方が勝ちって…どうかしてるよ。しかも「奴らは掴みやすい形状をしている」って…。
 デカプリオがカメラ目線で語る。「僕はジョーダン・ベルフォート、26才で年収49億…」
久しぶりにカメラに向かって語りだす主人公を見た。昔はよくあったような気がする。例えば『アルフィ』のマイケル・ケインとか、ウッディ・アレンもよくこれをやっていた。
 デカプリオがかけ出しの頃、ブローカーのなんたるかを叩き込まれたのはトップ・ブローカーのマシュー・マコノヒーからだった。
ダイエットしたマコノヒー、最近ご活躍
「客の利益? 冗談じゃない。株なんてフェイクなんだ。絶対に現金に換えさせちゃいけない、その瞬間に現実となるだろ? 利益が上がったと見せかけ、別の投資をさせるんだ!」
「俺らに必要なのはリラックスだ。お前は週に何回オナニーをする? 俺は日に2回は抜く。頭脳と下半身のバランスが大事なんだ」
ランチ中、コカインを吸い、酒をあおりながら講釈するマコノヒーに対して、デカプリオはまだウブな青年だった。
 だが間もなくデカプリオは失業する。1987年10月19日、史上最大の株価大暴落、ブラック・マンデーだ。新聞の求人欄で見つけた新しい職場、ロングアイランドのしょぼくれた投資センターへ行ってみると、「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズ(!)がいるではないか。スパイク・ジョーンズの説明によると、扱っているのはクズ同然の案件だが、50パーセントの取分だというのは美味しい。最初の客への電話からデカプリオは詐欺師としての才能を発揮した。わずか数分で数千ドルも売りつけたのだ! 周りは唖然としてデカプリオを見ているだけだった…。草野球の助っ人がリリーフで登板し、いきなり140kmの速球を投げるようなものだ。
パートナーとなるジョナ・ヒル、着こなしがとっても80's
ドニー(ジョナ・ヒル)との出会いが印象に残る。数ヶ月後、すっかり羽振りの良くなったデカプリオがダイナーで食事をしていると、ベッコウの眼鏡をかけ、やけに歯の白いジョナ・ヒルに声をかけられる。
「外に停めてあるジャガーはあんたのかい? 俺と同じアパートに住んでるよね。仕事は何? ブローカーだって? 幾ら稼いでるんだ? 月7,000ドルか、給与明細を見せてくれ、それが本当ならあんたの下で働く!」
速攻で元の職場に辞めると電話するジョナ・ヒルだった。

 ここからデカプリオ達のデタラメな快進撃が続く。新たに借りたガレージにデスクを並べ、電話を引き、近所の友達を何人か雇った。どいつも低学歴だ。唯一、学がある奴はヅラだ。デカプリオは、自分流のセールス・トークをシナリオにし全員に真似をさせ、電話口の客に、クズ同然の株を売らせまくった。
 デカプリオは部下を集めて聞く
「俺にこのペンを売ってみろ」
ヤクの売人だったブラッドが、そのペンを奪いポケットに収めて言う
「このナプキンに何か書いてくれ」
「俺は今ペンがない。需要が生まれた。お前はまさに今『売った』んだ!」
 社名を「ストラットン・オークモント」として、さらに会社が大きくなっていく。ガレージからウォール街の大きなオフィスに移り、ブローカー達も増やした。大きなセールスを上げた日にはお祝いだ! マーチング・バンド! コール・ガール! みんな来い!

 オリバー・ストーンの1987年の映画「ウォール・ストリート」は、当時のウォール街の貪欲さを批判的に描いたものだったが、皮肉にもその主人公ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)に憧れて、多くの若者達が金融業界に飛び込んだ。ジョーダン・ベルフォートも雑誌フォーブスに「低俗なロビン・フッド」、「ウォール街の狼」と叩かれたが、このことが逆に評判となり、彼の元へ求人者が殺到した。ジョーダン・ベルフォートもそのスタイルはゴードン・ゲッコーの模倣だったという。

 この映画での最大の見せ場は「レモン714」と呼ばれるドラッグなのだが、中枢神経抑制薬の一種らしい。このドラッグによりデカプリオとジョナ・ヒルは、涎だらだら、呂律が回らなく言うことが意味不明、立って歩くこともできず床を転がるだけとなる。そんな状態で車を走らせなければいけないデカプリオ…
ランボルギーニ・カウンタック!
この車はMTのはずだから、クラッチを絶対踏めないだろうと思ったよ
ジョナヒルがかけているFBIに盗聴されているであろう電話を、今すぐ切らなければいけない!…が、何を言っても言葉になってない!…体中の筋肉が言うことをきかない!…ただ大人2人がもつれ合い、のたうち回るだけだ!
この迷シーンは一生忘れないよ!
この後のカウンタックの末路は編集がうま過ぎてびっくりした、そして爆笑した。

 デカプリオたちは、FBIを恐れてスイスの銀行に現金を運ぶこととなる。この一連の行動もデタラメさが半端ない。
スイス側の銀行家はジャン・デュジャルダン、オスカー俳優
スタッフ全員が並ぶオフィスのフロアーで、デカプリオは社長を退任し、ジョナ・ヒルに会社を託すことを宣言する。そして一人の古参女性ブローカーに言う、
「彼女のスーツはアルマーニ、車は新車のメルセデス、バカンスには高級リゾートに行く。だが初めて俺のところに来た時は、財布には小銭だけ、子供の教育費として給料を前借りしなければならない程だった…(ウルッ)やっぱり、辞めない! お前たち全員、愛してるぜ
フロアー全体が「イエ〜
ここで感動した自分がバカだった。デカプリオは本物のクズだったのだ。FBIに刑期の短縮をしてもらう代わりに、仲間を売ったのだ!

 ジョーダン・ベルフォートは3年で刑を終え、今はセミナーで金儲けを教えている。やはり人は集まる。誰でも金は欲しい。彼はセミナー客にペンを渡し問う、
「俺にペンを売ってみせろ」
誰もがペンの良さを説くだけだ。奪わなければ金儲けはできない

2 件のコメント:

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